Pluto_Shi 結婚 ~Marriage~ 小学館 1996/10/11 SLG PlayStation
前回、もう小学館のゲームは買わん!と宣言してから早数年。
もう一度同タイトルである本作を手に取ってみることにしました。
「卒業3」という傑作と出会った事や、PS版はSS版に比べると「随分マシ」という噂も
耳にしていたので。
ゲームのコンセプトは基本的に変わらず。
但し、SS版に有った男女両方の視点でプレイできるというリバーシブルモードは
省かれており、主人公は男性固定。
登場人物も初代「卒業」のヒロイン5人のみ。
普通なら後退したと非難されるべき点ですが、SS版はそもそもゲームの体を
成していなかったので、対象を絞り込み、少しでも中身の充実に割り振ることに
専念したと思えば十分許容できる範囲です。
というか、結論から言うと耳にしていた風評通り、ちゃんと遊べるようになってます。
それが当たり前なのに、たったこれだけの事で感動してしまえるとは(苦笑)
システム関連も、SS版に比べるとかなりマトモなSLGになってます。
ようやく平均(勿論1996年当時の)といったレベルですが、ちゃんと主人公自身の
育成がゲーム内容(エンディング)に反映されるようになりましたから。
#これも何を当たり前の事を…って感じですが。
世界観&背景などもSS版と同じで、主人公はサラリーマン。
同じ会社のOL5人の中から生涯の伴侶を選び、最終的には「結婚」する事を
目的とした恋愛ゲームです。
ま、舞台を「学校」、目的を「告白(恋人)」にすれば、ごく普通のときメモ形式:
恋愛SLGなんですけどね。
一週間単位でスケジューリングを行い、平日は自己育成、休日にデートなどで
ターゲットの女性の好感度を上げていくといったプレイスタイルで、取りたてて
書くべき事といったら、要所要所に出てくる選択肢選択方法が
天使 VS 悪魔
という判りやすいビジュアル化がされているという点でしょうか。
見た目が変わってるだけで二者択一の選択には変わらないんですが、
内面の葛藤(笑)を具体的に描き出したってのは、これが初めての試みかも。
#インパクトでは「ボーイズビー」の両天秤システムの方が凄かったけど。
後は、「女性から手紙が届く」という要素もありますが、こっちから手紙を出せる
というなら兎も角、本作では単にビジュアル追加イベントの一つでしかありません。
SS版や「ときメモ」などと違いデートの場所は指定できず、デートの回数を
コナせばその女性のシナリオが勝手に進行していくといった展開になっており、
よっぽどヘタな選択肢を選ばない限り、そのままプロポーズへとなだれ込みます。
二股も可能ですが、結構カネの制限がキツいのであまり他の女性とデートしたり
プレゼントを贈ったりしてると、マトモな結婚式を挙げられなくなって、その後の
エピローグが悲惨な結果になるので注意が必要。
自分の場合は、あまりカネの掛からない「新井聖美」でしたから、
きっちりラストは「円満」の評価でしたけど。
#新婚旅行なんか「熱海」だし(^^;;)
キャラ(キャスティング)
志村 まみ(金丸 日向子)
加藤 夏美(嶋方 淳子)
新井 聖美(鶴 ひろみ)
中本 静(久川 綾)
高城 麗子(冬馬 由美)
基本的にキャラ自体は今までと変化は無いので特筆すべき点は無し。
が、絵柄のアレンジがかなりアニメ寄りになってて、シリーズの元ネタである
「卒業」の絵柄(竹井氏の絵柄)に思い入れが有った自分としては、かなりマイナス。
一見しただけでは、誰が誰だかさっぱり判らないほど。
確かに、あれから7年(24~25才)という歳月が流れてるわけで、
変わってて当たり前ですが、妙に丸っこい絵柄になっちゃってて…。
まあ、「卒業」という枠を外して見てみると、決して魅力の無い絵柄ではないんですが、
相手が悪すぎたというか。
願わくば、竹井氏の描く7年後の各キャラが見てみたかった。
まとめ
SS版よりマシとはいえ、ヌルい・薄い・タルいの三重苦は変わらず。
普通の恋愛SLGより10歳近く平均年齢を上げ、尚且つ「結婚」という
重いテーマを持ち出した割に、かなり消化不足。
結婚生活SLGである「カスタムメイト3」などは言うに及ばず(<カテゴリ違いだが)、
「結婚」がサブテーマである「ゆうわくオフィス」にすら完敗状態。
プロポーズするまでの流れが他の学園恋愛SLGと全く同じというのは
ある程度仕方ないにしても(ターゲット機がコンシューマだし)、
その後に続く
婚約→親の説得→指輪&式場&新婚旅行
といった部分が完全に付け足し状態なのは納得できん。
むしろ、こっちをメインにして欲しかった。
あまり好きなやり方ではないけど、”結婚”を前面に押し出すなら
「続・初恋時代」みたいな手法もアリだと思う。
冒頭(プロローグ)で婚約者を選んで結婚までの道程をシミュレート…ってやり方。
勿論、それだけじゃつまらないので「その婚約者と結婚するとは限らない」という
展開も希望したいが(^^;)
既婚者の意見としては、ちょっと「結婚」のもつダークな部分が無さ過ぎると思う。
が、そんなもんシミュレートして何が楽しいかって気もするのでそれは別に要求しない。
それよりも「結婚」のもつプラスの部分、「告白~恋人」という流れとはまた違った
別種の幸福&価値&世界感みたいなものを求めたいが、本作の場合はそっちも
大幅に欠如してるんですよね。
欠如というか、そもそも「そんな要素」を再現しようとか盛り込もうとか
考えて作られてないのかもしれませんが。
また、旧来の「卒業」ファンとしては、キャラだけ使いまわされてるのも不満。
前作は前作で完結してるいるのでパラレルワールドとして捉えればいいんですが、
それにしてもかつての同級生が同じ会社に居るってのに、その繋がりが
全くゲーム中に生かされてないのは、やはり勿体無い。
ま、それをやるとイベントやらシナリオの展開が数倍以上に複雑になるから
(バッティングとか二股とかね)
敢えて無視したとも考えられますが。
でもさ、クドイようだけど、かつて「教師」だった身としては、セリフの端でもいいから
高校時代の先生の話とかして欲しかったワケよ(^^;)
「高校時代、私たち5人は同級生でこんなセンセイが居てね…」
ってだけで報われるんだけど。
#評価に+20くらい下駄履かせたいくらい(笑)
こういう「萌え」は反則かもしれないが、こんな「萌え」はゲーム、しかも
シリーズ物であり、シチュエーションが変わる場合にしか発揮できない
非常に 稀有な萌え だと思うんで、是非とも実現させて欲しかったっす。