我不知道ICO的监督说过什么,但我知道ICO的官方小说里是这么说的:
エピローグそして二人は……
こんなにも優しく、こんなにも美しい声で、子守歌をうたっているのは誰だろう。髪を撫でてくれるのは誰の指だろう。この頬に触れる柔らかな感触は、トクサの村の懐かしい我が家の、干草の匂いをいっぱいに含んだ枕だろうか。
僕はどこにいるのだろう。
ずっと夢を見ていた。長い長い夢だった。その夢のなかから、ようやく外に出る時がやってきたのだ。閉じたまぶたの裏が明るい。朝が来たのだ。もうすぐ継母《まんかか》さまの声が聞こえてくる。イコ、起きなさい。お陽さまに置いていかれてしまいますよ。
目を開ける。五感はまだ眠っている。のびのびと手足を伸ばしてうつ伏せに。肩も胸も膝頭も足先も、うっとりするほど心地よいところにあって、ほんのりと暖かい。
子守唄は続いている。高くなり低くなり。耳をくすぐってくれる──
潮騒《しおさい》だ。寄せては返す波の歌だ。
ようやく、イコは目覚めた。
ぺったりと伏せたまま、そっと手を動かしてみる。指先がさらさらしたものに触れる。顔の近くまで手を持ってくると、真っ白な粒が爪の先にまとわりついていた。
潮の香りを感じる。
イコは起き上がった。そして見た。どこまでもどこまでも果てしなく続く純白の砂浜と、輝く太陽と、浜辺を洗う波の描く緩やかな曲線を。
イコの心のなかも、記憶の蔵も、この砂浜と同じように真っ白になっていた。見渡す限り平らに凪《な》いでいた。
僕は死んだのかな。ここはあの世かな。
周囲を見回すと、砂浜の彼方に、海を臨んで岩場が連なっている。岩場の上には木立が茂り、涼やかに枝を揺らせている。
青空を海鳥たちが行きかう。鳥はあんな高いところを飛んで、どうして眩《まぶ》しくないのだろう。高く、遠く舞い上がりすぎて、淋しくなったりしないのだろうか。
そんなことを考える僕は、まだ生きているのかもしれない。
見おろせば、ひどい格好だ。衣服は生乾《なまがわ》きでゴワゴワと、縫い目のところに塩がこびりついている。筒袖の衣の襟首が裂けて、平らな胸が半分がた見えている。
イコは手で胸をさすった。もう一枚、何か着ていたような気がするのだけれど。何か足りないような気がするのだけれど。
指の爪のあいだに、血がこびりついている。よくよく見ようと頭を動かすと、ズキリと痛んだ。頭の右側。触れると、なんてことだ、角が付け根からぐらついてる! 顔の右側がべたべたするのは、そこから流れ出した血が粘りついているからだ。
急に心細くなった。慎重に腕を動かしてみる。肩が動く。肘《ひじ》が曲がる。どこも折れてはいないようだ。次は立ち上がってみよう。膝に力が入らない。浜辺のきめ細かな砂の粒子が、まだ座っていなさい、まだ動いちゃいけないと。イコを引き止めている。
海は水平線まで遠く広がり、左右に開けた砂浜も、その果てを見定めることはできない。
僕はどうやってここに来たのだろう?
イコのすぐ傍らの波打ち際に、古びた板切れが打ち上げられていた。半ばはまだ海に浸かり、波が来ては退くたびに、わずかに上下に揺れている。小さなカニが、よいしょよいしょとその上によじ登り、横切ってゆくのを、イコはぼんやり見守った。
不意に、お腹がぐうっと鳴った。
イコは笑い出した。ホントにぺこぺこだ。何か食べなくちゃ。家《うち》に帰らなくちゃ。継母さまが心配してる。
僕、今までどこにいたのだろう。何をしていたのだろう。
僕は旅をしていたんだ。どこか遠くに行っていたんだ。つかみどころがなくて取り出せない記憶、ひとかたまりの思い出が、心のいちばん奥にある。イコは目を覚ましたけれど、その記憶はまだ眠っていたいらしい。
もう一度試みる。今度は何とか立つことができた。痣《あざ》や切り傷がいっぱいだ。砂を払い落とし、膝を曲げたり伸ばしたり。大丈夫、あちこちヒリヒリ痛いけれど、骨が折れたりしていない。
この砂浜にだって、終わるところがあるはずだ。あの高い岩場の方へと、登る道があるはずだ。とにかく歩き出してみよう。
足の下で、さくりと砂が鳴る。僕は裸足だ。履物《はきもの》はどうしちゃったんだろう。砂が柔らかいから、まあいいか。
右手の遥か前方に、砂浜を横切るように、ごつごつした岩が飛び出している場所がある。そこに海鳥たちが集まっている。何の目印もないよりはいい。イコはそちらを目指すことにした。
一歩でよろめき、三歩進んでひと休み。最初のうちはそんな調子だった。でも歩き続けるうちに、身体を動かすことが心地よくなってきた。足取りがしっかりとして、リズムが生まれる。
少しずつ近づくにつれて、前方の岩場の上を飛び交う鳥たちのおしゃべりが聞こえてきた。小さな輪を描いて飛び、滑空しては舞い上がり、忙しく羽ばたいている。
イコは立ち止まり、目を凝らした。海鳥たちがあんなに騒いでいるのは、魚が打ち上げられているからかもしれない。そう──岩場の足元、波打ち際に何かが──
いや、誰かが倒れているのだ。あれは人の形をしてるじゃないか!
イコは走り出した。真っ白な砂に足をとられ、もどかしく腕が宙をかく。それでも走って、走って、走って近づいてゆくほどに、波打ち際の人の姿が、どんどんはっきりと見えてくる。
両手を振り回してバランスを取りながら駆けてくるイコに、海鳥たちは騒いで飛び去った。岩場の間近にまで走り寄り、砂地に身を投げ出して倒れている人の姿が、その濡れた髪が、華奢《きゃしゃ》な背中が、すんなりとした手足が、イコの記憶を刺激して、鼓動を早める。耳鳴りを呼ぶ。
白いドレスを身に着けた、少女が一人。
さっきまでのイコと同じように、深く眠っている。疲れきって休んでいる。それでもその胸が静かに上下して、少女が呼吸していることを教えてくれる。
寄せる波が彼女のふくらはぎを洗う。つやつやした皮膚に、太陽の光が照り映える。
かがんで、イコはそっと手を伸ばす。少女の頬に触れようと。しみひとつない色白の、でも紛れもなく人の肌の色。ほんのりと血の気が差し、長いまつげが影を落とす。
僕はこの人を知ってる。
でも──僕が出会ったときのこの人は、白い輝きに満ちた人外の存在。魔法のようにまばゆい光を身体に秘めた、精霊の仲間だった。
今ここに眠っているのは、うっとりするくらいきれいな顔立ちの、でも一人の女の子。
記憶が| 蘇 《よみがえ》りかけて、また鎮《しず》まる。
そのとき、少女がパチリと目を開いた。つぶらな黒い瞳に、彼女をのぞきこんでいるイコの顔が映る。
イコは、少女に笑いかけた。
少女が動き、身体を起こすと、滑らかな額に垂れかかる前髪が、さらさらと風に揺れた。
イコは少女の手を取った。
少女はイコの手に手を預けた。
もうずっと以前から、こうしてきたという気がした。
つないだ手と手に、宿る永遠。
時はもう、停まってはいない。時の流れのなかにこそ、人が見出す永遠に、血のぬくもりが通って二人を結ぶ。
長い物語の終わりに、陽は高く輝く。
你做梦的时候会痛啊!>:o
[本帖最后由 瓦拉几亚之夜 于 2008-7-29 21:52 编辑]