三羊開泰
旧正月中、壁や門に貼る「春聯」で『三羊開泰』(san1 yang2 kai1 tai4)という熟語を見かけませんでしたか? 実はこの「羊」は本来「陽」と記さなければなりません。漢語の「羊」と「陽」はいずれも(yang2)と発音し、同音同調です。昔の人は縁起担ぎが好きだったからもともと「三陽開泰」の「陽」を同じ発音で、吉祥を表す「羊」に置き換え、「三羊開泰」と記しました。
「三陽開泰」はもともと気象学から生まれた言葉です。24節季の一つである旧暦の11月冬至の日は正午の太陽の高度が一年中で最も低く、また、昼が最も短い一日です。この冬至の日を過ぎると、徐々に日が長くなり始めます。
古人は冬至の日から「陰の気」が次第に去り、「陽の気」がだんだん生じてくると考えていました。だから、冬至の日に「一陽」が生じ、旧暦12月には「二陽」が生じ、正月には「三陽」が生じて「開泰する」(万物が通じる)と言われるのです。
「三陽開泰」とは、春が巡って来て、万物の生気が満ち溢れるという意味で、「三羊開泰」を絵に描くと、陽光を浴びている3頭の羊の吉祥図案となります。ちなみに「三陽開泰」は《易経》では「冬去春来」と説明してあります。